ニワトリを飼う際にはニワトリ小屋が欠かせませんが、広さはどのくらい必要なのでしょうか?
『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(Amazonリンク) という本によると、自由に歩き回るために必要なニワトリ小屋の広さの目安は、畳 1 畳に 5 羽までとのこと。
1 畳は 1.8m2 ほどなので、1 羽につき 3,600cm2(約 60cm 四方) という計算になります。
ただしこれは多数飼う平飼い飼育の目安であり、成鶏の全長は 40cm くらいあるため、より少数で飼う場合に動き回るスペースを確保するには、もう少し広いほうが望ましいでしょう。
わが家の鶏小屋のサイズ
わが家の鶏小屋の場合、2 羽で内寸 98cm x 88cm、約8,600cm2 の大きさにしました。
上記の目安より 2 割ほど広い計算です。
とはいえ、ニワトリが 1 年ほどで成鶏になると、やや窮屈な感じがします。
近所の小学生が小屋を見て「狭そう」と言っていましたが、それが正直な感想だと思います。
小屋の中には、止まり木、産卵部屋、給餌器、給水器を置くので、自由なスペースはその分だけ狭くなります。
わが家の場合、給水器と給餌器は宙づりにして、なるべくスペースを確保しようとしています。
では、それだけのスペースを確保できないとニワトリが飼えないのかというと、そうでもありません。
一般的な養鶏場の鶏飼育空間のサイズ
一般の養鶏場ではニワトリをケージで飼育していますが、そのケージのサイズは24cm x 39cm = 936cm2、高さは 40~45cm ほどしかありません。
そのサイズのケージで2羽を飼うなどの運用が行われており、1羽当たりの飼育面積は 370~490cm2 という養鶏場がほとんどのようです。*
*公益社団法人畜産技術協会、H27年3月「採卵鶏の飼養実態アンケート調査報告書」より
ニワトリを飼ったことのある人からすると、ニワトリに大きなストレスがかかることが容易に想像できる狭さ・環境です。
実際、採卵鶏は運動不足による骨粗しょう症などが多いそうです。
ペットとして飼う場合、一見狭い鶏小屋であっても、ふだんスーパーで見かける卵を産んでいるニワトリの飼育環境よりはマシです。
こんな飼育は良くないという問題について関心のある方は、「アニマルウェルフェア」や「バタリーケージ」について調べてみることをお勧めします。
サイズ感の目安
サイズ感の目安がわかりやすいように、成鶏のサイズと、養鶏場のケージ(長辺 40 cm)、平飼いの推奨最低サイズ(奥行きも同じ場合で 60cm)、わが家の小屋のサイズ(長辺 100cm)をそれぞれ図に示してみました。
ケージでは羽根を広げることもできないこと、平飼い推奨サイズでも最低限だということがお分かりいただるのではないでしょうか。
ペットとしての鶏小屋のサイズのお勧め
ペットとしてニワトリを飼う場合、やはり 1 羽につき 3,600cm2 以上という目安は守ったうえで、なるべく広いほうがよいとは思います。
そうはいっても、広ければ広いほど、鶏小屋の建築費や必要強度、管理の手間も増えるので、難しいところです。
わが家で実際に飼ってみて思うのは、鶏小屋のサイズは場所や飼い方などの条件に応じて柔軟に対応すればよいということです。
わが家の場合、日中はほぼ庭で柵内を放し飼いにしています。暗くなったところで自分で小屋の止まり木に戻るので、毎日、朝夕に扉を開閉するのが日課です。こういう飼育方法の場合、小屋は主に食事や寝床、避難場所として使われるだけなので、それほど広い必要はありません。土浴びの空間を小屋内に無理に確保する必要もないでしょう。
ただし、ほぼ放し飼いの飼い方には問題もあります。日中に自由に動き回れるのがニワトリにとって当然のことになると、飼い主の都合でニワトリを小屋に閉じ込めた時に不満を感じ、ガーガーと文句を言って鳴いてしまうのです。お産鳴きほどの音量はなく、遠くまで響く鳴き声ではありませんが、文句タラタラの怒り声で鳴き続けられると、近所に家がある場合はちょっと気になるレベルです。
かといって、鶏小屋に毎日閉じ込めておくにはやや狭く、ちょっとかわいそうです。
そこでお勧めなのは、産卵箱と寝床を含む小屋と、遊び用の空間とを連結する方法です。
イメージとしては、Amazon で販売されている以下の鶏小屋のような感じです。
屋外の裏庭の鶏小屋、巣箱が付いている耐候性の木造鶏小屋、取り外し可能な底が付いている大きい家禽のかごのアヒルの家
DIY する場合でも、しっかりと作るのは小屋だけにして、遊び場は簡単なつくりにすることができます。小屋は遊び空間の中に配置しても外に配置してもかまいません。遊び場は、イレクターパイプのキウイ棚や藤棚(以下例)にネットや金網を張るのもよいでしょう。
この方法なら、日光浴・土浴び・運動・エサやりの空間を小屋内に設ける必要がないため、小屋は一辺 60cm 以上くらいの小サイズで済むし、運動不足にならない広い空間を確保しやすくなります。遊び場に屋根をつくれば、雨の日も多少の運動が可能になります。
ニワトリは外敵に狙われやすいのでセキュリティを確保する必要がありますが、危ないのは主に夜間です。遊び場はニワトリが脱走できない程度の囲いを設置し、小屋だけは外敵が侵入できない徹底した対策を取るようにすれば、ほとんどの獣害は回避できるでしょう(成鶏になるまでは日中も多少の注意が必要です)。
この方法のデメリットは、遊び場のセキュリティが万全でない場合、朝夕に扉を開閉する必要があることです。ただし、遊び場も丈夫な金網(詳細記事)で覆ってしまえばそれほど心配は要らないかもしれません。
また、庭に放し飼いしない場合、芝刈りや雑草抜きの手間が減るというメリットもなくなります。
やり方はいろいろあると思いますし、どんな方法であっても養鶏場のバタリーケージよりは良い環境で育てられると思うので、これから飼育する方の参考になれば幸いです。
産卵箱のサイズ
鶏小屋内に設置する産卵箱のサイズについてもこちらに記載しておきます。
広すぎず、狭すぎずが安心するようで、縦、横、高さともに 30~40 cm が目安のようです。
わが家の鶏小屋では縦、横 35cm ほどにしたところ、ちゃんと利用していますが、まれに 2 羽が共に入ってギュウギュウになっていることがあります。。
・庭で2羽ニワトリを飼う(鶏関連記事の一覧)