ニワトリは汗をかくことができず、暑いのが苦手です。観察していると、暑くなると翼を上げて脇を空け、見るからに暑そうにしています。口も開いたままになり、水を飲む頻度も高まります。
そんなニワトリがこれから本格的な夏を迎える前に、改善点を探るため、暑い日にニワトリ小屋周辺の温度を調査してみました。
鶏小屋の温度調査結果
調査を行ったのは6月中旬の晴れた日で、気温は 29℃でした。
わが家の鶏小屋の屋根は、オンデュリンというアスファルト系のシートです。
直射日光の当たるこの屋根の表面温度を測定すると、57℃もありました。
重要なのは天井面(裏面)の温度
ただし重要なのは、ニワトリにとって天井に当たる面の表面温度です。
天井の温度が高いと、そこからの輻射熱(ふくしゃねつ)で、ニワトリが暑さを感じる一因となってしまうからです。
ニワトリ小屋の屋根を作るとき、屋根の付け方には大きく2種類の方法があります。
(1)木材(支持材、桁、垂木など)に直接屋根を固定する方法と、
(2)面材(下地板、野地板)の上に屋根を固定する方法です。
わが家は(2)の方法で、構造用合板(9mm厚)を屋根の下地板として使用しています。その下地板裏面の温度を測定したところ、35℃でした。
(1)の方法の場合、ニワトリの頭上の天井面は屋根材の裏面になるため、もっと暑くなります。試しに屋根材の端っこの裏面温度を測定してみたところ、47℃もありました。
この天井面の温度を下げることができれば、ニワトリの夏はより快適になるはずです。
天井面の温度を下げる方法
わが家の鶏小屋では、天井面の温度を下げるため、もう一つの工夫を行いました。
屋根裏に断熱面を設けるのです。これは、住宅でも行われている重要な断熱箇所です。
断熱面といってもきちんとしたグラスウールなどの断熱材ではなく、ただ段ボールを二重にして張っただけです。
これだけで、ニワトリの天井温度は、31℃になっていました。
屋根に下地材を設けていない場合、屋根裏に段ボールを重ねて張っておくだけで、天井面の温度を50℃近くから気温近くまで下げることができるということなので、お勧めです。
地面側の温度調査結果
ニワトリ小屋は土の地面の上に設置することが多く、きちんと日陰にさえなっていれば、この方法は最適です。地中の温度は年中安定していて、暑い日も地中は比較的涼しいため、このメリットを享受することができるからです。
しかし、わが家の鶏小屋は、耐久性と獣害対策を重視して高床式にしたため、地熱の涼しさを利用することはできません。鶏小屋の床の温度を測ってみると、26.5℃と、気温より少し涼しい程度でした。
今はよくても、気温 35℃ほどになる猛暑日には暑そうです。
そういえば、暑い日に庭でニワトリを放していると、よく日陰の決まった場所で穴を掘り、身体をうずめて土浴びをしています。
ここはとても涼しそうです。
さっそくこの箇所の土を少しだけ掘って温度を測定してみると、23℃。
やはり日陰の地面、特に地中に近い部分は涼しいようです。
猛暑日の暑い時間帯はなるべくそこに移動できるようにしておこうと思いました。
その他の猛暑対策
この記事では主に鶏小屋の暑さ対策を紹介しましたが、以下の基本的な対策も重要です。
・日陰をつくる(よしず)
・風通しを良くする
・庭の植物を増やす(木、芝生)
・飲み水を日光に当てず、切らさない
これらの対策である程度の暑さは対応できそうですが、猛暑日にはさらに次の対策も考えています。
・涼しめの水をこまめに用意する
・ニワトリ小屋の周囲に散水する
ニワトリの熱中症は恐ろしく、鶏舎では短時間の間に大量死が発生することもあるようなので、細心の注意を払っていきたいと思います。
ちなみに、温度チェックに使用したのは、以下の安価な放射温度計です。一瞬で表面温度を測定できるので便利です。
輻射熱も含めて熱中症のリスクを調べるには、以下のような温湿度計もお勧めです。