ニワトリを飼育するにあたって心配なのは、鳴き声がうるさくて近所迷惑にならないかという問題です。
これについては非常に微妙な問題なので、飼育経験を踏まえ、答えられる限り詳しく説明したいと思います。
雌ニワトリはどんなときに鳴くか
まず、鶏といえば早朝に「コケコッコー」とけたたましく鳴くイメージですが、これは雄鶏だけです。
雌ニワトリは、コケコッコーとは鳴きません。
とはいえ、雌ニワトリなら静かかというと、決して静かというわけではありません。
雌ニワトリが大きな声で鳴く鳴き声として、「お産鳴き」といわれるものがあります。
以下に、YouTube で見つけたお産鳴きの動画を紹介します。
お産鳴きというくらいなので、産卵のタイミングで鳴くのかと思っていましたが、実際は産卵前後の時間帯に鳴くことが多いように思います。産卵という一大イベントで、興奮しやすくなったりしているのかもしれません。
お産鳴きの頻度とタイミング
このお産鳴きは、どの雌鶏も毎日毎回鳴くというものではなく、鳴くときもある感じです。
わが家の2羽の雌鶏の場合、平均すると週に一回程度の頻度ですが、一日に何度も鳴くことや、数日続けて鳴くこともあります。一羽が鳴き出すと共鳴(伝染)し、2羽とも同時に鳴くこともあります。
70%ぐらいの雌鶏が鳴くという説明も見かけたので、わが家のニワトリは比較的、鳴かないほうなのかもしれません。
お産鳴きの時間帯
時間帯としては、夜間の暗い時間は聴いたことがなく、日の出の時間から朝にかけてがやや多い感じです。
産卵の時間帯はだいたい毎日同じで、午前中ですが、朝早い時期もあれば、11 時くらいに産みがちな時期もあります。
日の出の時間は、夏至近くだと4時半頃になります。夏至に、産卵時間が早まって、お産鳴きをするという3つの条件が重なってしまうと、近所迷惑になってしまうかもしれません。
お産鳴きの音量は?
動画だと音量がよくわかりませんが、これだけ大きな鳥が鳴いているので、それなりの音量です。
声の通りのよさは、カラスの鳴き声くらいでしょうか。おそらく、100m くらい先ではほとんど聞こえなそうですが、静かな時は 50m くらい先までは聞こえそうな感じです。
家では余程うるさくしていない限り、窓を閉めていても聞こえます。切迫感のある鳴き声なこともあり、眠りが浅ければ起きてしまう音量です(うちの子供は目覚めません)。
鳴く時間の長さは、数分でしょうか。飼い主が駆けつけて側に行くと、安心するのか、すぐに鳴きやみます。上の動画でも、雄鶏が来ると鳴きやんでいます。放っておいたらいつまで鳴き続けるのかは、試したことがないのでよくわかりません。わが家の場合、4、5 回鳴く頃に鳴きやませている感じです。
不安で鳴くこともある
また、非常にまれですが、強い恐怖や不安、不満を感じたときにも、このお産鳴きと同じ鳴き方をすることがあります。これは日中でもあり、鳴き声に驚いて見に行くと、2羽のうち1羽の姿が見えなくなって不安になっていることや、カラスやヘビなどの外敵が見つかることがありました(原因不明なこともあります)。
雌ニワトリのさまざまな鳴き声
ちなみに、雌ニワトリの鳴き声はそれだけでなく、さまざまな声を出します。よくしゃべる生き物のようで、観察していると、小さな鳴き声は頻繁に発しています。
ヒヨコの時期は、とても可愛らしい声でピヨピヨと鳴きます。
それが育つ課程で声枯れしていきます。声枯れしはじめたときは、鶏は「ピヨ」と鳴こうとしているのに、枯れた声しか出ず、思った通りにいかないと困惑していることもありました。
成鶏になると、「コッコッ」などと軽く挨拶するような感じで鳴いたり、「コォーーーコッコ」などと鳴きながら近づいてきたり、嬉しいエサに喜びの声を上げたりすることもあります。
庭土を掘ったりするときも、虫を見つけて楽しそうな声を上げます。
一方、鶏小屋の外で遊びたいときに小屋に閉じ込めたりすると、「グァーー、グァーー!」などとアヒルのように不満そうな声を上げることもあり、これは少しうるさめです。
鶏の鳴き声の騒音軽減対策
雌鶏の鳴き声は近所迷惑になるか?
雌ニワトリの鳴き声が近所迷惑かどうかは、微妙なところです。昔は小学校ではどこもニワトリ(主にオス)を飼っていて、それが近所迷惑になっていると聞いたことはありません。
が、実際に飼っていると、ニワトリの声が近所にもれることがあるのは事実です。気にしない人は気にしないでしょうが、気にする人は気にするかもしれません。
ニワトリを飼っている人の中には、騒音が気になるので日中以外は室内で飼うという人もいます。飼育数が多ければ多いほどうるさくなるので、2~3羽なら問題ないと考える人もいるでしょう。
私の感覚では、よく吠える犬よりは静かです。が、早朝のお産鳴きは、時々ではあるものの、少し迷惑かなと思います。隣接する住宅まで距離があればあるほど問題は小さくなりますが、音が小さくても、鳴き声が聞きなれない音であり、ヒステリックな感じなので、初耳の人や、窓を開けて寝ている人は少し驚くかもしれない、とも思います。
住宅密集地で飼育する場合には、はじめに周囲の理解を得られるかを確認したり、室内で飼う可能性も考えたりしておいたほうがよいかもしれません。
ただ、中年以降の世代では、ニワトリを飼ったことがある人も多く、そういう人は鶏を温かい目でかわいがってくれることが多々あります。つまりケースバイケースということです。
鶏の鳴き声の防音対策
なお、わが家は隣の住宅まで距離がありますが、お産鳴きの音量は少しでも下げられるなら下げようと思い、産卵室の外側周囲に防音材(吸音材)を貼り付けています。
産卵室の外で鳴いてしまうことも多く、効果のほどはよくわかりませんが、少しはマシになっている気がします。
発泡スチロールのような素材だとニワトリが食べてしまう心配がありますが、こちらは大丈夫でした。
その他の騒音対策としては、飼育数を増やさないことや、鶏小屋の配置を工夫することによっても、いくらか軽減できそうです。