千葉県北西部で中学受験する場合、上位の中高一貫校として、渋谷幕張、市川学園、昭和学院秀英、東邦大学付属東邦中学校、県立東葛飾中学校などが人気です。
これらのうち、渋谷幕張は全国でもトップレベルで頭一つ抜けているので別格として、その他の学校の入学難易度には、そこまで大きな差はありません。
一般的に、入学難易度(偏差値)の高い学校ほど大学の進学実績レベルは高い傾向がありますが、これらの学校においても偏差値と進学実績が比例するのかどうか、公開データを元に調査してみました。
市川、東葛、東邦、秀英の偏差値
合格レベルの偏差値は塾によって異なるので、中学受験の3つの塾が発表している2023年時点での最新の偏差値を以下にまとめました。
SAPIX | 四谷大塚 | 日能研 | |
---|---|---|---|
渋幕 | 64 | 70 | 69 |
市川 | 57 | 65 | 65 |
東葛 | 55 | 63 | 61 |
東邦 | 54 | 61 | 62 |
秀英 | 53 | 59 | 60 |
出典:
SAPIX: https://s.resemom.jp/pages/sapix/202404/men.html
四谷大塚: https://www.yotsuyaotsuka.com/njc/dev_pdf/2023_m_80_1.pdf
日能研:https://www.nichinoken.co.jp/np5/schoolinfo/pdf/r4/expect/r4_2406_e_m.pdf
日能研のデータでは東葛と東邦の順位が異なりますが、偏差値で見る渋幕を除く四校のレベルは、
市川>東葛>東邦>秀英 というのが現時点での状況のようです。
偏差値は本当の入学難易度を正確に表すものではありませんが、ほかに良い指標がないのでその点はご了承ください。
市川、東葛、秀英高校の偏差値
参考までに、東邦を除く4校は、高校での入試を行っており、その難易度は以下のとおり、中学受験とほぼ同じ並びでした。
渋幕 61
市川 55
東葛 52
秀英 48
出典:https://www.sapix.co.jp/exam/hensachi/
市川、東葛、東邦、秀英の進学実績の比較
それでは、肝心な進学実績について検討してみましょう。
進学実績は各校が公表しており、まとまったデータは日能研のサイトなどで確認することができます。
なかでも参考になったのは、日能研の情報サービス「Nポータル」で公開されている受験情報誌「情報エクスプレス」です。
Nポータルは、日能研の生徒でなくても、模試を受けたりすればログインすることができます。
この情報誌には、各高校の卒業生数に対する東大早慶上智の現役合格者数を表すA率という指標が示されています。
ほかにも、MARCH のB率や、理系大学のS率(Science)といった指標もあり、大変参考になります。
ここではデータを転載することは致しませんが、気になったのは市川、東葛、東邦、秀英の比較です。
2023年のA率を比べると、市川>東葛>秀英>東邦の順となっているのです。
年度ごとのばらつきもありますが、平均的には市川>東葛≒秀英>東邦くらいであり、入学難易度と比べると、(意外なことに?)昭和学院秀英の健闘(入学後の伸び)が目立ちます。明朗謙虚・勤勉向上は伊達ではありません。
渋幕 69
市川 63
東葛 63
東邦 60
秀英 58
並びは 2023 年現在とそれほど変わりませんが、市川は近年さらに難易度が増しているようです。これを考慮すると、市川の入学後の育成もなかなか優れているように見えます。
参考:https://www.yotsuyaotsuka.com/njc/dev_pdf/2017_n_m_80_1.pdf
なお、A率は高ければ高いほど進学実績がよいと見なせそうですが、B率やS率については注意が必要です。渋幕のような上位校では、東大早慶上智のトップ大学に進む生徒の割合が多すぎるために、かえってB率やS率は中堅校より低いという結果が生じているからです。B率やS率は高ければよいというわけではありません。
また、理工系大学のS率は、必ずしも理工系のトップ大学を反映しているわけではありません。理工系の強さは、東工大の合格者数や、母数の大きい東京理科大学の合格者数だけをみたほうがわかりやすい気もします。
さらには、理工系に進むのは男子が多いため、S率は男子比率が高い学校ほどが高くなる傾向もあります。秀英と東葛は男女比率がほぼ同じですが、渋幕・東邦・市川は男子比率が高いことに注意が必要です。
これらの点を考慮すると、S率では一見、秀英が理工系に強くない印象を受けますが、実際にはまったく悪くないどころか、A率の傾向と同様、健闘していることがわかります。
ご参考までに。